日本語教育
日系子弟のための日本語教育実践交流会 第2回ワークショップ
平成18年11月26日(日)JICA横浜にて
テーマ:言語・文化継承の課題解決に向けて
ワークショップ
ワークショップでは、まず「地域」「学校」2つのグループに分かれ、その中でさらに2~3の小グループで話し合いをしました。あらかじめ用意しておいた次の3つの事例を提示し、グループごとにテーマを決めて討議しました。
[Aグループ(地域)]
最初に提示した事例:
A)地域での学習支援が学校での教育と連携が取れないため、子どもの支援に効果をあげにくい。地域での支援の効果が家庭の協力や学校での学習の成果に結びつかないことが支援者の悩みとなり、限界を感じる。
B)中学生が高校進学に見通しを無くす時期や高校に進学しても授業内容に魅力を感じなくなってくる時期に不登校になり、支援のネットワークからもれてしまうことがある。
C)子どもの問題解決のために親自身が動かず、地域または行政の通訳ボランティアに依存するケースが多く見られる。そういった親に対する支援で悩むことが多い。
討議内容:
A)について
●小グループ1
問題点:
・地域の日本語教室がもっている情報が学校に伝わりきらない、またその逆の問題があるつまり、子どもに関する情報交換の連携が充分にとれていない
・不登校などにより、学校・地域の支援ネットワークから外れてしまう
・地域のサポートに依存しすぎる。保護者への対応
事 例:
1.学校そのものがボランティアに頼りきり(何をどうしたらいいのか把握できていない)
・教師は仕事を抱えているため対応しきれない、発育と教育言語の違いが分からない
・学校の方針(校長)によって異なる。
2.学校の先生とボランティアの話が合わない
・学校とボランティアの考え、求めているものが異なる
3.地域は、学校では持ち得ない情報を知っている
必要な情報とは?:
子どものニーズをつかむこと。
地域の支援者は、子どもが未来を自分で描ける場づくりをする。
| ソフト(現場レベル) | ハード(行政レベル) | |
| 現実的案 (今できること) |
・支援者の意識付け ・学校とボランティアの情報交換 ・ボランティアの歩み寄り ・学校側からの歩み寄り ・ボランティアから親に歩み寄る |
・国外で、保護者の教育と情報提供 ・国内(地方自治体)での保護者教育 |
| 理想的案 (理想的案・将来) |
・子ども自身が未来を創りだせるような基礎作り ・保護者の意識を変えるような働きかけ 例)自ら○○したい、○○になりたいと思えること。 |
・子どもの未来のための教育を保障するお金と場
事例)ソーシャルワーカー....日本人も同じような悩み(学習困難)をかかえている。
・保護者がPTAに関わる |
●小グループ2
問題点:
・教師の意識改革
・ボランティアがどのように地域に関わっていくか。
・ボランティア、教師の人材不足
・教師が大人数の生徒を抱えている場合、外国につながる生徒の対応はボランティアに頼らざるをえない。
事 例:
1.地域での学習支援と学校の連携不足
・学校との連絡がとりにくい、地域から学校への伝え方がわからない
・外国語指導員ではパイプ役としても立場が弱い
・地域ボランティアの限界・・・専門外のことはできない
・地域よりも学校側に連携の必要性の意識が薄い
・教える場所が確保しにくい
2.不登校などにより学校・地域の支援ネットワークから外れてしまう子どもへの対応
3.地域のサポートに依存しすぎる保護者への対応
現実的案:
・ボランティアの校内教員研修への介入:現場のインパクトのある声を届ける
・地域のボランティアのネットワーク確立:広い範囲で成功例を共有できるように
例)体験談を語ってもらう、出張講義
・子どもの実体験、データなどの事例を収集しておき、必要に応じて発表できるようにしておく
理想的案:
・教師の意識改革
・全員に教員研修に参加してもらい、従来の小集団ではなく全体に関心をもってもらうことで社会に訴えていく
[Bグループ(学校)]

最初に提示した事例:
A)国際教室に日本語指導と教科指導の負担がかかり、どちらの問題も解決されないで学習不振が深刻化している
B)日本語が十分でない子どもへ学習に関わる連絡が伝わっていないことが多く、フォローのための目が届かない状態になりやすい。在籍クラスの担任、国際教室の担任指導員の連携に悩むことが多い
C)学校が子どもの持つ問題を掴んでいないため、対応が遅れることが多い。子どもが忘れられた存在、見えない存在となっている
討議内容:
A)について
●小グループ1
問題点:
子どもの進路。現在十分保障されていない。
単に日本語会話ができればよいと考え、学ばなくてはならない内容がおろそかになっていることがある。日本語も教科も両方を学ばせていかなくてはならない。
原 因:
日本語指導員などの役割=日本語を教える、とうたわれていることに問題がある。幅広くサポートするために配員されるべき
解決策:
1.効率的に勉強を進めていかなければならない(限られた時間内に教員はいかに日本語と教科を効率よくすすめていくか、に取り組む)。
2.限られた時間で、いかに子どもにモチベーションを持たせるか
↓
自尊心をもたせる。点数をとれる、授業が分かるサポート。クラスの雰囲気づくり
↓
支えるシステムづくりをする。
3.指導員は幅広くサポートするために配員されるべき。
教員間(クラス担任、日本語指導員、国際教室担任など)、協力員の連携が不可欠。教員の意識改革も大切。教員とサポーターが共感しあうこと。教員の負担軽減も。
4.セミリンガルと呼ばれる両言語が不確かな子供の存在に対し、家庭内での教育意識の改革が必要。
A)・B)について
●小グループ2
事 例:
加配教員が50人に対し2人。担任も手をまわせない。
ボランティアが来ても必要なところにまわすことができない。
原 因:
1.教員が何のためにボランティアなどが来ているのか理解していない。
2.教員の理解、国際教室の先生の知識が足りない。
3.問題を起こさず、静かに座っている子供について忘れてしまいがち。
解決策:
1.分かりやすくするために行政からのガイドラインを提示、コーディネーターの配置があれば動きやすい。
2.教員(国際教室担任など)の研修が必要
3.言葉がわからず動けないでいる子どもに目を配る。
新しく来た子どもに対する、プレスクールを行うと受け入れやすい。浜松市、上田市などで効果を上げている。
4.通訳ボランティア等を適材適所に配置する。
C)について
●小グループ3
事 例:
1.田舎の小学校。学校として外国人の受け入れが初めて。生徒はブラジルの休みと同じかと思って12月から4月までずっとこなかったが、一切学校から連絡なし。学校側は「学校が嫌になったから来ないのか・・・」と思っていた。
2.昼休みに2年生の女の子が顔に怪我をした。帰るまで教師は気づかず。本人は訴えられない、クラスメイトからも何もなし。夜、親から連絡があったにも関わらず、対応はなし。(尚、この学校では一日おきに通訳が入っている。)
原 因:
1.外国人受け入れが初めてで学校、地域(自治体)として情報を提供するシステムが出来上がっていなかった。
学校内での連携なし。漢字にルビをふれば分かるだろうという誤解。優しい言葉への言い換えができない。
2.教師は「外国語が出来ない」と歩み寄りを怠ってしまい、子ども本人も言葉ができないからと諦めて訴えることをしなかった。教師一人では多くの生徒の一人ひとりに目が行き届かないのも事実。特に5時間目など、帰る間際では気づかない可能性も高いのでは。
解決策:
1.現在は受け入れ態勢も改善され、オリエンテーションをする、などの対応がとられている。今後も行政へ話しかけて行く。
2.
・教師自身の意識の改革
「学校文化を押し付けて当たり前」の認識を改め、文化の違いを認め歩み寄る努力を(修学旅行で、嫌がるのを無理やり「裸の付き合いだから・・・」と一緒にお風呂に入れようとする→「なぜ嫌がるのか」に考えをめぐらす)
・授業のやり方を工夫する(音楽の授業で、日本語で歌を歌う代わりにハミングをして、日本語が不十分な子供も参加できるようにするなど)。
・他の日本人児童へのマイノリティへの理解を促す。
・ロールモデルができていけば、対応策が見えてくる。あきらめずに頑張る。
3.教師自身が頑張っている姿を子供に見せていく。

