海外日系人大会


日系留学生たちの海外日系人大会inハワイ参加報告

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USSアリゾナ記念館にて

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デービッド・イゲ ハワイ州知事と

第59回海外日系人大会inハワイには、日本の大学院に留学中の日系留学生(日本財団・日系スカラーシップ)のうち、2名が代表で参加しました。

初めてハワイ日系社会を訪れた2人。そこで何を学び、何を感じたのでしょうか。大会参加の経験について、2人のレポートをご紹介します。


◆幸坂歩さん(パラグアイ)のレポートはこちら

◆吉田ジオゴえいじさん(ブラジル)のレポートはこちら


幸坂歩(日本財団日系スカラーシップ・12期生)


1. 海外日系人大会、元年者150周年記念シンポジウム
第二次世界大戦前後に沢山の日本人が契約移民として海外へ渡った。より良い生活を求めて何ヶ月も船に揺られながらまだ見ぬ地へ行くことを決意した。中には日本人以外の人種を見たことがない人も沢山いたことでしょう。今とは時代が違うとはいえとても大きな決断であったと思います。大会や記念シンポジウムの講演では移住当時から現在の子孫に至るまでの様々なお話を聞くことができました。日本が明治時代から平成に至るまでに大きな変化と成長があったように、日系人社会でも大きな成長と変化がありました。
私は日本へ来るまで日系人の歴史や契約移民の事、日系人部隊の事などに触れる機会がありませんでした。また留学して感じたことは、大学の先生や学生の中でも日系人について知っている方は残念ながらほとんどいません。まだ最初の移住から150年しか経っていないのにも関わらず、その歴史は多くの日系人や日本人の中では受け継がれていないように感じます。日系人と日本人、祖先は同じでも暮らしの環境の違いなどから異なった環境に適応してきました。やがてそれは物事の感じ方や見方にも変化が現れてきたように思います。
今回の大会中に沢山の方々とお話をすることができました。まず気になったことの一つに、活躍している女性が多いということ。移住当初は男性社会であったはず。いつ、何をきっかけに女性が活躍するような環境が出来たのかとても気になっていました。ハワイの日系人の方にお伺いしたところ、1〜2世世代ではまだまだ男性社会であったようですが、教育を受ける女性が増えたことや、ハワイという地が男女平等に意見を言える環境であったことなどから、活躍する女性を応援する環境があった。また、活躍している女性が更に若い世代を刺激し、引き入れて来たと話して下さいました。また、女性が活躍する社会では経済以外の発展も見出せる。独立した女性が多くなる事で次世代(子供など)の教育方針も変わってくることから更なる発展が生まれると話して下さいました。
私の育ったパラグアイの日系人社会はまだまだ男性社会ですが、女性が意見を言えるような環境作りというのは加速させられないものなのだろうか?転機のきっかけは待つものなのか、作るものなのかと考えてしまいます。パラグアイも男女平等で大学の先生や職場の上司などに女性が沢山います。しかし、日本の大学環境ではまだまだ男性社会であるように感じます。多文化が大陸国とは違いあまり入って来ない日本ではどう変わっていくのでしょうか。
今回の大会で発表させて頂くにあたり、ユース代表という観点から、移住の歴史の深さや育った環境などから"代表"ではないのでは?と発表を準備するにあたり悩んでいました。しかし、モデレーターの中井さんが"貴女のストーリーを伝えて下さい"とおしゃって下さった事で気持ちも軽くなり、私がなりたいと思う日系人像をお伝えすることができました。


2. オプショナルツアー

a. USSアリゾナ記念館
日本軍の真珠湾攻撃によって沈没したアリゾナ号。翌日の航海に備えて給油がされていたため、現在でも燃料が漏れ出すと共に毒ガスが発生していて1102人の遺体を乗せたまま海底に沈んでいるアリゾナ号。その真上に立てられたアリゾナ記念館。資料館で上映されていた関係者の証言では、若い兵士達(17歳から23歳)は訓練の一部であると知らされていた。また、沈没し亡くなった後も家族へは訓練中に詳細不明などと知らされていたようである。どの戦争も実際に突撃する部隊には本当の事は知らされておらず自身の意思とは関係なく命を落としている。時を経て何度もくり返される争い。私達の日常でもちょっとした行き違い、無知な差別、違いを受け入れようとしない事などが大きな争いにつながる事が多いが、結果としてあって良かった争いや戦争は一つも無い。今でもきっと、日本人が学んだ第二次世界大戦とアメリカ人が学んだ事では大きな違いがあることでしょう。何が真実なのだろうかと考えてしまいました。

b. ハワイ文化センター
契約移民としてハワイへ渡った1世の方々、そしてハワイで産まれた2世の方々の生活の様子などが写真などに残っており、その当時の様子が展示されていました。私と同じ2世。しかし全然違う生活状況。複雑な思いがしました。南米の移住の歴史とは異なった困難な中、何を思って頑張れたのか。戦後の日本が復興を果たしたように、ハワイでも日系人の州知事が出て来るまでになっている。多くの日本人がこのような歴史を知らない事がとても悲しいです。先人たちの苦労の上で平和に暮らしている若者の無知を悲しく思います。

c. 国立太平洋記念墓地:パンチボウル
様々な戦争で命を落とされた軍人や日系人宇宙飛行士などが眠る墓地。この様な敬意を示すべき場所であるにも関わらず観光気分で訪れ墓地内の木に名前を彫っていく人が急増したがために下車できなくなってしまった。とても情けない現実です。

d. マキキ墓地(献花)
元年者の方々、日本海軍、日系人の方々が眠る墓地。ハワイという地にどのような思いで来られ、どのような苦難の中命を落とされたのだろうかと考えるととても複雑な想いです。マキキ墓地に眠る方々に献花させて頂くことができました。手を合わせるも "お疲れ様でした。ゆっくりお休みください。私も精一杯生きます"としか言葉が出ませんでした。どんな状況であれ、日々を精一杯生きた方々に敬意を表します。


3. 日系人大会、元年者150周年記念シンポジウム、オプショナルツアー等で学んだ事をどう活かしていくのか
毎年日本で開催される海外日系人大会でも沢山の学びがあり、気持ちを新たにまた頑張ろうと思うのですが、今回のハワイでの大会、元年者150周年記念シンポジウムとオプショナルツアーではさらに濃縮された学びがありました。改めて、祖先や日系人の想い、今の自分について考えるきっかけとなりました。また、ハワイ日系人社会は既に何世代も先を歩んでいる日系社会です。乗り越えてきた困難、乗り越えようとしている困難など、学ぶ事が沢山ありました。
多くの日本人と同じように、多くの日系人も和を乱すことを好まず、周りと同じように生きていこうとする傾向があるように思います。私自身もパラグアイでは現地社会へ、そして日本では日本の社会へ溶け込もうとしていましたが、どちらも違うような気はしていたもののどう進むべきなのか分かりませんでした。今回、沢山の方々の講演を聞き、お話をさせて頂く中で思ったことは、どちらにもならなくて良いということ、しかしどちらも理解しようとすること。
これまでに学んだ事をどの様に活かしていけるのだろうか?幾つか私が活かしていきたいと思う事を述べたいと思います。
• 日本人の良いところに触れて欲しい。多くの留学生や外国人は多かれ少なかれ文化の違いやコミューニケーション不足から日本人は嫌だと思う方が多いように思います。しかし、理解しようと心がけることで良いところが見えてくることを伝えたいです。
• 日系人の若者に言語の大切さを伝えたい。パラグアイで産まれたなら母国語であるスペイン語はパラグアイ人と同様にできることを心がける。また、日系人で日常会話を日本語でできるパラグアイでは丁寧な日本語を話すことを心がける。
• 他文化を理解しようとする事。これは世界共通であると思いますが、他文化は変な文化ではなく自分の知らない文化であるだけ。理解しようと心がける中でその文化特有の素敵な習慣であったり教えがあったりする事に気がつきます。
• 日系社会を日本人の良いところを残しつつ現地で活躍し、母国に貢献できる社会にしたい。残念ながらパラグアイの日系社会ではまだまだ変化が好まれません。また、パラグアイ人を差別する傾向があります。行動できるようになるには、経験を積み力をつける必要があるように思います。
• 日本人に日系人という存在を知ってほしい。これまでに思いがけもしない言葉を言われる事もありましたが、日系人という存在とその歴史を知らない日本人がいる事を悲しく思います。


4. 謝辞
今年度の海外日系人大会は、ハワイ日系移民150周年という節目である大会でした。この様な節目である貴重な大会に参加する機会を下さった日本財団日系スカラーシップと海外日系人協会に心より感謝しています。また開催に向けて準備などにお忙しくされていたハワイの日系人の方々、元年者委員会の方々そして日本サイドの方々、日本財団、海外日系人協会の方々に心より感謝致します。皆様のご苦労があり開催されたハワイ大会で私は楽しく学び、新たな出会いを築く事ができました。
またパネルディスカッションでお世話になりました中井様をはじめ、ご一緒させて頂きましたパネリストの皆様、とても和やかで話しやすい空間を作って下さり本当にありがとうございました。


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パネル・ディスカッション(パート2)

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パネル・ディスカッション(パート2)にて発表